ある業界の本がそれなりに売れているようだ。
著者による文面を少し変えて下に記す。
「詳しい仕組みは本書を読んでいただきたいですが、4000万円の公共事業を10社で談合して請け負えば、昔は各社で売り上げを計上することが可能でした。あくまで帳簿上のマジックではありますが、10社が計上した売り上げを足すと、なんと合計4億円の事業に化けてしまうのです。当時、私はモデル企業の社員でしたが、「こういう粉飾が積み重なって、日本は世界2位のGDP(国内総生産)を達成したのでは?」と疑問に感じたことを鮮明に覚えています」とある。
僕なりに具体的に説明すると、
見積合わせ(入札)に際し
仮に出入り業者が10社とした場合、低金額受注を抑える為に予め1番で受注する企業を10社の話し合いによって決めておく。
A社が一番安い金額(それでも利益が出るようになっている)で受注出来るように他の9社はA社より高い見積書を出す。
その結果、A社が得意先より4,000万円で受注決定したとする。
で、A社はB社にそっくり仕事を「丸投げ」し、利益率は3%として以下同様にした場合は、
A社→B社へ 3,880万円 A社はなにもしないで120万円の利益
B社→C社へ 3,763
C社→D社へ 3,650
D社→E社へ 3,540
E社→F社へ 3,433
F社→G社へ 3,330
G社→H社へ 3,230
H社→I社へ 3,133
I社→J社へ 3,039
9社売上合計 30,998
A社の得意先への売上4,000万円を足すと34,998万円と言った具合に8.7倍に化けてしまう。(携帯で計算したので少々金額が違っていたらゴメン)
自由競争の原理とか仕事が公共事業の場合は問題ありだろう。特に後者の場合は税金で賄われるから「罪」になる。
書物の著者はこういう粉飾が積み重なって、日本は世界2位のGDP(国内総生産)を達成したのでは?と疑問に感じたと言われているが
例えばA社が内製出来ない会社(例:大手広告代理店)で下請けに丸投げして、その下請けも更に「孫請け」に丸投げすれば
A社→B社へ 3,880万円
B社→C社へ 3,763
の構図になるが、ちょっと異なるのは「談合」ではないからA社はかなりの利益率を獲得したいからB社への発注額はもっと低くなる。
このように考えると、悪意のない発注・受注形態による「国内総生産」の数字は複合的になるのは仕方がない。
あまり詳細に書くと僕も経験者と思われるから、このへんでやめる。
おしまいに傑作な話をしておきます。
特急(納期が厳しい仕事)の場合は「丸投げ」ではA社は進行管理が十分に出来ないのでA社で内製したい。
となると
I社→J社へ 3,039
J社→A社へ 2,947 とは!!!。
A社は得意先への売上4,000万円、J社への売上2,947万円、合計6,947万円。これは、二重売上だから商法違反と思う。